八木良太
Time Parallax
2013 4.13 - 2013 5.12無人島プロダクションでは、八木良太展「Time Parallax」を開催いたします。
昨年より八木は両眼視差を扱った新シリーズ「Red and Blue」を発表してきました。
「Red and Blue」とは、その名のとおり青と赤の2色で構成された作品を3Dメガネで鑑賞するシリーズで、高松市美術館での展覧会「Takamatsu Contemporary Art Annual vol.02」や小山市立車屋美術館での「Stepping Stone」、京都市美術館での「京都版画トリエンナーレ」で骨組み立方体を組み合わせた立体作品や映像、シルクスクリーンなどさまざまな表現スタイルでこのシリーズを実験的に展開してきました。
本展では、立体作品や平面作品の新作に加え、作品を鑑賞するためのメガネの色数のバリエーションを増やし、眼鏡をかけかえるごとに見えるものを次々と変化させるという試みや、原始的なアニメーションの技法を用いた時間の視覚化をおこないます。本来平面のみに適用される立体視というギミックを立体物そのものに照射することで、本展ではさまざまな知覚体験を提示します。
ーーーーー
リバーブやコーラスといったエフェクターは、時間をほんの少しずらすことで、聴覚に擬似的な空間の広がりを与える。視覚に関しても、わずかな時間のズレを用いることで、空間知覚を拡張できないだろうか?
時間の視差/色の視差/立体の立体視によって、見えているということの前提について、まずは疑いをもって向かい合いたい。
空間の広がりや厚みは時間と関係している。
2013 八木良太
ーーーーー
これまでの八木作品が持っていた「見えないものの可視化/聞こえないものの可聴化」といった構造に、本展では空間的次元という新しい要素が加わります。また作品それぞれの意匠自体はシンプルな表層に包まれているため、鑑賞者は自然とその裏側にある複層的な構造に思いを巡らせることができるでしょう。
これまで平面の次元でしか成し得なかった「印刷」という概念が、3Dプリンターに代表される複製機械として立体にも適用されはじめています。平面や立体の境界が更新されつつある現在、八木の次元や五感に対する視座と実験のプロセスをこの機会にぜひご覧いただければと思います。