加藤翼

40,000kmのなかの数メートル【前期:メキシコシティ⇄ジャカルタ】

2017 11.25 - 2017 12.23

無人島プロダクションでは、加藤翼展「40,000kmのなかの数メートル」を、前期「メキシコシティ⇄ジャカルタ」、後期「ベトナム⇅アメリカ」の2部に分けて開催いたします。

本展は2015年から約2年、文化庁新進芸術家海外研修制度の助成を受けて渡米、シアトルでの滞在を終えた加藤の帰国後初の個展となります。
本展タイトル「40,000kmのなかの数メートル」とは、地球の赤道上を1周する距離約40,000kmに対し、作品中での人々の移動距離を比較したもので、展覧会では、この2年間に加藤がさまざまな地に赴き、移動と距離をテーマに現地の人々と共同で行ったプロジェクトをすべて公開します。

多くの国や共同体がそれぞれの枠組みを強化しようとしていることと、そういった情勢のなかで移動の自由と制限がより可視化されてしまったことで、以前よりさらに共同体の在り方が揺さぶられていると考えた加藤は今回、「都市」「路上」「国境」「移動」をキーワードにこの展覧会を構成します。都市名を展覧会タイトルとした前期の「メキシコシティ⇄ジャカルタ」は、都市の路上で制作した映像作品を中心に展示し、後期の「ベトナム⇅アメリカ」では、国というフレームをより強く意識させるような作品を展開する予定です。
どの作品にも「その土地の今、の一部分」を切り取ったものが映り、そこからはリアルな社会情勢ももちろん透けて見えてきます。けれども加藤は、作品によって現在の社会の在り方の是非を問うのではなく、映像作品の中でそれぞれの土地の背景を垣間見せることによって、「今いる場所」から「彼の地」までの距離に対する鑑賞者の想像力を促します。

現在のIT環境は、SNSなどで世界中の人と容易につながることができ、世界各地の溢れかえるほどの情報を得ることができる時代をもたらしました。とはいえ、それだけでは理解できないことばかりです。 この展覧会では、作品そのものだけではなく、プロジェクトを行っている間の映像フレームの外にある世界、それぞれの場所について、是非、思いを馳せていただきたいと考えます。

作品解説 【前期:メキシコシティ⇄ジャカルタ】

作品解説 【後期:ベトナム⇅アメリカ】