朝海陽子
22932
2009 3.27 - 2009 5.2無人島プロダクションでは「朝海陽子展 22932」を開催いたします。
昨年朝海は、部屋で映画を見ている人々を撮影した、初のカラー写真シリーズ「sight」で、「第9回フォト・プレミオ 特別賞」「さがみはら写真新人奨励賞」を立て続けに受賞しました。また昨秋には東京都写真美術館で開催された「オン・ユア・ボディ」展に参加するなど、一躍注目を集める存在となった朝海の新シリーズです。
本展タイトルの「22932」とは、ある一軒家のかつての番地です(現在は市の区間整理により表記が変更)。今回朝海はこの「家」を舞台にモノクロ写真とカラー写真で様々な光景を撮影しました。かつてここに住んでいた住居者が残していった日常生活の痕跡に、自身が選んだモノや人物を加えることで、新たに時間を刻みはじめる「家(場所)の物語」を紡ぎ出しました。
朝海がこれまで発表してきた、「Trigger」では「海」を、そして「Sight」では「部屋」を撮影し、これらはいずれも定点で観察撮影し、時間の経過を表現してきました。今回は、どんなに綿密に写真で記録しても、一つのフレームにはおさまりきらない空間の広がりと時間軸のパズルを作り上げることによって「新しい物語」を作る、という、朝海の新たな挑戦でもあります。痕跡が残された証拠品のような写真と、会場で配られる家の見取り図を見て、見知らぬある一軒の家についてのそれぞれの旅物語を紡ぎだしていただければと思います。