八木良太

メタ考古学

2016 5.21 - 2016 6.26

無人島プロダクションでは八木良太展「メタ考古学」を開催いたします。

無人島プロダクションでの約3年ぶりの個展となる本展では、考古学的手法、たとえば発掘、修復、保存、実測などをテーマにした新作群を発表します。

八木はこれまで音や言葉、記録媒体をテーマに数々のインスタレーション作品を制作してきました。作品の中にはアナログレコードや色調解析アプリケーションなど古今のテクノロジーを使った作品も多くあります。
その八木が、なぜ今考古学か。
八木はこう言いました。
「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」と。

ここ最近、埋蔵文化財などを実際に目にし、世界考古学会議のためのプレディスカッションなどにも参加して学者たちの考えにふれていくうちに、八木は古代の文明、文化や生活に思いをはせることによって、より宇宙を感じるという感覚が芽生えたといいます。

20世紀に思い描いていた21世紀への期待とあこがれ、そして21世紀も十数年を経て見えてきた現実。テクノロジーが進化する一方で、実際に私たちの目の前に広がるのは、先行きが不透明な未来です。いまあらためて、わたしたち人間の原点に立ち返り、人間の太古からの営みから感じられる原始的な行動や、潜在的に秘めた力を検証し直すことで、未来のさらに先が見えてくるかもしれません。

本展ではメディアアートの手法によって、時間の厚みや重さを可視化する作品を発表します。

2015年に参加したMildura Palimpsest Biennale(オーストラリア)のフィールドトリップで行ったイタリアの世界遺産ヴァルカモニカの岩絵群から着想を得た、ランダム・ドット・ステレオグラムを利用した作品(一見ノイズにしか見えない画像だが、裸眼立体視(交差法)によりうまく焦点を合わせると図像が立体的に浮かび上がってくる)、縄文土器の縄目文様から着 想した音と陶器の作品、砂の中に埋もれた音を発掘作業をするような感覚で探りあてる作品などの新作で構成されます。 作品の体験を通じて、日常ではあまり使わない感覚を刺激していただければと思います。

発掘作業場のような本展会場を体験して、過去を想像し、未来を想像し、そして未来へのあらたな思考を創造していただきたいと思います。

制作協力:神戸アートビレッジセンター