Sachiko Kazama

Showa Zanzo-den

2009 2.4 - 2009 3.14

[Japanese version only]

風間はこれまで木版画の手法で、近代化・現代化とともに変貌していく日本の歴史を独自に検証・表現してきました。

本展の「昭和残像伝」とは、平成も21年目となりモノクロームとなりつつある昭和時代を、今に再提示する風間の新作シリーズです。

今回風間が選んだ「昭和の残像」のメインテーマは「炭鉱」です。
国の原動力やエネルギーの礎となり、近代産業の屋台骨としてフル稼働した石炭は、昭和の終焉と軌を一にするかのように、エネルギー資源としての表舞台から消えていきました。
この炭鉱の歴史と物語を、風間は、昭和30年代に三井三池炭鉱のお土産品として発売された2体の「石炭人形」を主人公に、風間流のファンタジーを織り交ぜながら物語を展開します。

平成元年生まれの人々が成人式を迎えたこの年に、なぜ昭和? という感じもするかもしれませんが、派遣切りをはじめとする雇用問題や、 『蟹工船』が再読ブームとなる現在、歴史化された「昭和」をひもとくことで、今のこの状況を作りあげた様々なものや問題を浮き彫りにできるのではないか、と考えます。

昭和を、薄れ行く一時代のノスタルジーとして捉えるのではなく、現代からの視線によって照射し、再提示する風間の試みを、是非ご覧ください。