ブラインドサッカー元日本代表の寺西一(愛称、ハジくん)と協働で制作した展覧会。盲人を媒体に、視覚芸術や想像力などについて会議しながら、計9作品を作った。真っ暗な闇の空間を入り口にして、色彩がほとんどないコンセプチュアルな作品群を展示。また、健常者にありがちな、障害者につきもののアンタッチャブルなイメージを自ら壊して生きてきた、明るく積極的なハジくんによる、街や社会に介入していくパフォーマンスビデオも発表した。
「Make love in the dark」
盲人同士によるにらめっこの様子を収めた映像作品。
「Blind Musical Stick」
視覚障がい者が使う杖をガラスでかたどった作品
「KIRAKIRA」
キャンバスの全面に、スワロフスキーによる点字で「KIRAKIRA」と刻まれている。キャンバスを見る者は視覚で、点字を読む者は指先で、「KIRAKIRA」を感じ、鑑賞する。
「さわりなさい」
オノ・ヨーコの著書『グレープフルーツ・ジュース』からインストラクションを引用し、『IMAGINE』というタイトルの市販のエロ本に点字を打った作品。
「私という作品を解説する作品という私」
わたしは この光を通さないガラスケースのなかから
見られることも 触れられることもなく
だけどたしかにここにいて あなたに呼びかける声です
まなざすことを許さない
触れあうことを許さない
わたしとあなたのあいだにあるこの黒い壁は
わたしとあなたにとって はたしてなんなのでしょうか
見ることのできるものだけを見てきた 目を塞がれて
触れることのできるものだけを触れてきた 手を阻まれて
そこにあって 見ることも 触ることもできない
そんなわたしを あなたはたしかに感じられるで しょうか
たとえ気まぐれでもわたしの呼びかけに耳を傾けた
あなたはこの呼びかけが止んでからも
わたしをたしかに感じられるのでしょうか
もしわたしのことをたしかに感じたなら
わたしのことを見ないままで
決してわたしに触らないで
そ してどこまでもわたしに近づいてください
それがわたしです
まなざすことを許さない
触れあうことを許さない
わたしとあなたのあいだにあるこの黒い壁は
わたしとあなたにとって はたしてなんなのでしょうか
そこにあって 見ることも 触ることもできない
そんなわたしを前に あなたはなにを想いますか
そこにあって 見ることも 触ることもできない
そんな世界のなかで あなたはなにを想いますか