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2 min. 59 sec., Filming by Yukari Hirano
2013年にプロジェクト「ミタケオヤシン」を実地した、アメリカ、ノースダコタ州スタンディングロック・インディアン居留地。2016-17年の大統領選からトランプ大統領誕生にかけて、この地が石油パイプライン(Dakota Access Pipeline, DAPL)の建設を巡る全米の論争の舞台となる。この地に居留するスー族は、2016年4月にパイプラインが居留地の水資源に悪影響を与えるとして連邦文化財保護法に抵触すること、またその建設はスー族やラコタ族の土地を保証するフォート・ララミー条約に違反するとして、居留地に抗議デモ拠点となるキャンプを設立する。5月、選挙運動中のトランプはパイプライン建設工事が雇用を創出するとし、その完成を公約として掲げる。一方で9月にはバーニー・サンダース上院議員がホワイトハウスの前で抗議デモに賛同を表明する。秋から冬にかけてSNS上でハッシュタグ#NoDAPLが急速に広まり、治安当局や建設会社の警備職員たちによるデモ参加者への放水、催涙ガスや犬を使った暴力的な取り締まりなどの映像が拡散する。治安当局は人員不足を補うため1400人以上の州兵を配備。冬には氷点下となる厳しい環境にも関わらずキャンプには数千人のデモ賛同者があふれ、抗議デモがピークに達する。11月1日オバマ大統領が、陸軍工兵司令部はパイプラインのルート変更ができるか調査していると発言。そして8日に大統領選挙が行われ、結果トランプが勝利。12月、陸軍省はパイプラインを通す工事を認可せず、代替ルート調査のために環境影響評価を実施すると発表。ついに建設は中断される。しかし2017年1月20日に就任したトランプ大統領は、24日に建設再開で何千人もの雇用が生まれると述べ、建設を再開させる大統領令に署名する。それに従い陸軍省は建設再開許可を石油パイプライン会社「エナジー・トランスファー・パートナーズ」に与えると2月7日に発表。同日スー族は陸軍省が環境影響評価を打ち切ったことについて、法廷で争う意向を表明。翌日デモ隊がホワイトハウスに集結して建設再開に抗議。だがそのさらに翌日の9日に建設は再開される。同日、スー族は掘削作業を中断させるよう連邦裁判所に異議申し立て。13日、裁判所はこの訴えを退ける。抗議デモキャンプの瓦礫や人の糞尿が雪解け水に混じり川が汚染されるリスクを理由に、州知事はキャンプを閉鎖する必要があると述べる。2月、治安当局が撤退命令を拒否してキャンプに留まっていたデモ賛同者を逮捕。この論争が始まって以来、逮捕されたデモ賛同者の累計は700人以上。デモ賛同者が完全に排除された後のキャンプに残されたテント、汚物などのゴミの量はトラック230台分以上。あたりにはトラックで運びきれなかった小さなゴミがいたるところに散在していた。3月にキャンプを訪れた私たちはそのゴミ拾いからこのプロジェクトをスタートした。