１枚のスクリーンの裏・表には、アテネのパルテノン神殿に酷似した建造物が写っており、外周を走るジャージ姿の荒木が交互に現れる。一方は、荒木が育ち親しんでいたアメリカのナッシュビルにある美術館で、反対側は、スコットランドのエジンバラにある未完成の記念碑だ。アテネの「オリジナル」の型から複製された二つの神殿は、それぞれ異なる歴史的背景に土着したことを示している。くるくると周りを回る荒木によって、まるで一つの建物の裏表かのように見えてくると同時に、殊更強調された差異は、パルテノン神殿をめぐるアメリカ・スコットランドというそれぞれの国家の文化や政治の歴史、富力の差を示唆するかのようだ。