ゲートピア No.3 (2019)
木版画(和紙、油性インク)、額、版木
60.5 x 91.5 cm
木版画(和紙、油性インク)、額、版木
60.5 x 91.5 cm
黒部川第三発電所建設を支えた労働者に焦点を当てた作品。アスワン・ハイ・ダムの建設 に際し、脚光を浴びたアブ・シンベル神殿を中心とするヌビア遺跡群移設プロジェクトと 、一方で移住を余儀なくされた人々、及びダムに沈んだ村のエピソードを作品に重ねることで、開発を影で支えた多くの人々に想いを寄せるとともに、近代化の「影」の部分を象徴している。
額装の版画は、小神殿をモチーフとし、オリジナルの王と王女の6体の像は、死と隣り合わせの断崖を歩いた歩荷の男女、ダイナマイトを持った朝鮮人、掘削やずり出しの作業員に置き換えられている。壁面裏側に配置された版木は、「版」もまた「影」の存在でありながら「版画」が存 在するためには絶対に必要なものである。しかし尚も、朝鮮人が削り取られているのは、 黒部峡谷の過酷な工事を描いた物語等でさえ語られず、黙殺されている事を表している。