田口行弘
Pan! Pan! Pan!
2011 4.9 - 2011 5.14無人島プロダクションでは、田口行弘個展「Pan! Pan! Pan!」を開催いたします。
田口行弘は、2005年よりベルリンを拠点に、世界中で作品を制作・発表し、注目を集めています。田口は、「ある場所にもともと存在するもの」を動かしながら作品を制作、彼自身が「パフォーマティブ・インスタレーション」とよぶこの手法で、ギャラリー空間から街中にいたるまで、屋内/屋外とわず、さまざまな場所を彼の表現の舞台にしたてあげます。また、このパフォーマティブ・インスタレーションと並行して、ものを少しずつ動かすさまは写真で記録していき、撮影した画像をつなぎ合わせて映像作品にする「ストップモーション・アニメーション」も制作、このふたつの手法を主軸とした表現活動を展開しています。
本展「Pan! Pan! Pan!」では、鏡やアクリル板、合板、そして会場である無人島プロダクションにもともと存在していた扉や障子など板状のもので会場を構成しつつ、そこにここ数年田口が海外で行ったプロジェクトの映像作品の上映や写真の展示を加え、会場全体をコラージュしていきます。田口は2005年に、建築途中の家を、パッチワークのようにつなぎ合わせた絨毯で覆った「patch house」という作品を発表しましたが、本展ではこの「patch house」の手法に、床板を素材にした「Moment-performatives spazieren」の手法を織り合わせた、新たな試みを展開します。
田口は自身の制作について、「日常、身の回りにあるモノや空間、状況の中にこそ、新たな関係や風景をつくる要素があることを示唆している」と言います。この展覧会でも、普段見慣れたさまざまなものが日常の中で果たす役割を飛び越え、大胆につながり合うことで新しい風景が出現します。またその場に居合わせた観客も作品として巻き込まれ、「つくり手」と「観客」という関係性が、田口によって軽やかに塗り替えられることになるでしょう。
また本展と同時期に、森美術館で個展「MAMプロジェクト014:田口行弘」が開催されます。この展覧会では、美術館の展示室の白い壁を六本木ヒルズ内外のさまざまな場所に設置し、少しずつ動かしながら空間を新たなものにつくり上げる「Moment」シリーズの新作を発表します。ワーク・オン・プログレスで進むこのプロジェクトの全貌は、「MAMプロジェクト」のギャラリー内で日々明らかにされます。
日本での最新作「MAMプロジェクト」と海外での活動を中心に展開する「Pan! Pan! Pan!」、ぜひこの2つの展覧会を通して、田口の多様な表現をご覧いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。