The 2nd Sun Island (2024)
木版画(パネル、和紙、油性インク)、木枠
183×127cm
木版画(パネル、和紙、油性インク)、木枠
183×127cm
《The 2nd sun island》は、昼夜を問わず人間が活動するための人工の太陽、すなわち「電灯」の輝きを絶やさぬために、自然界からあらゆるエネルギーを搾取する楽園の島です。
その形は、古代インドの宇宙観を表した巨大な山「須弥山(しゅみせん/Mount Meru)」と、原子力爆弾によるキノコ雲を連想させる姿をしています。人智の及ばぬ神仏の世界を描いた須弥山と、人間の支配欲によって誕生した原子力爆弾は、理想と現実という真逆な存在でありながら、強大で巨大な「力」への憧れを体現して入る点で共通していると感じました。
《The 2nd Sun Island》の頂上に輝くのは電球です。その頂上に至るまでの山々には水力発電所、火力発電所、原子力発電所、太陽光発電(亀)・風力発電施設などが点在し、その周辺には稼働させるための石油・天然ガス・石炭・ウランの採掘場やダムがあります。
決して沈むことのない第二の太陽のために、約140年という短い間で「資源」を使い果たそうとする恐ろしさ。しかし、生活者にとって電気を使った快適な暮らしへの依存は平凡なものです。
近代以降の「文明」は批判されることなく、後回しになった問題は塵のように積もり山となりました。文明的生活のツケが、キノコ雲のように巨大な破壊力を持って降りかかってくるのを分っていながら、傍観しているのが今の風景だと思います。この絵は、古典的なスタイルで未来を予感させる作品です。