Tepee Rocket / Boarding School (2013)
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加藤はアメリカ、ノースダコタ州のスタンディング・ロック・ネイティブアメリカン居留地を初めて訪れた2013年から、幾度となくこの地に通っている。
ことの発端は、2011 年の震災・原発事故からずっと抱いてきた疑念である。ーー私たちは、得体の知れない誰かの仕業や不条理な理屈によって、自分たちのコミュニティや土地、家から突然に追い出される可能性がある社会に(いまだに)生きている。グローバル社会の複雑な因果関係によってそうした境遇に立たされた時、家から追い出されることを拒否する権利を私たちはどれ程に持ち合わせているのだろう?
加藤は「得体の知れない誰か」の正体のヒントをアメリカに求め、ネイティブ・アメリカンに「家を追い出された者」の代表者としての見識を求め、この地を訪れた。
居留地で加藤が制作した構造体のモチーフは、ティピー(伝統的なテント)とボーディング・スクール(寄宿学校)。かつて大陸を自由に移動していた頃のネイティブ・アメリカンの家はティピーだった。しかし開拓者たちによって居留地に移動させられ、そこに定住させられると、ネイティブ・アメリカンの子供たちは親元から離れてボーディング・スクールに住むことを強制された。およそ一世紀にわたり、ボーディング・スクールはネイティブ・アメリカンの言語・習慣を否定し、英語教育を徹底した。