国立台湾美術館の「アジアン・アート・ビエンナーレ 2017」で展開した、美術館内から前庭に延び、公道へとつながる 1 本の長い舗装道を作るプロジェクト。あらゆるプロテストは道をステージにしており、例えばデモは集合場所から国会などの ゴールへと道を歩く。台湾のひまわり学生運動の際、立法院の扉には鍵がかかって おらず、学生が占拠できたというエピソードからもインスパイアされた。この道 も、美術館内から立法院へとつながっていると言える。つまり、国立美術館という 場所がどれほど公的な場所なのかを問い、国立美術館の公的センスや公的ポテン シャルを最大限に引き出すことを目指したプロジェクトでもある。立法院や国立美 術館は誰のものなのか? そこで何をするのか/できるのかを誰が決めるのか? そし て、そのジャッジは公的にどう評価されるべきか? このようないくつものクエス チョンが、このプロジェクトには内在する。公道でも国立美術館でもない第三のパ ブリック・スペースとして、Chim↑Pomは美術館と交渉しながら、この道のための オリジナルのレギュレーションを新たに作った。また、タイトルが漢字である理由 は、台湾の文化のコアともいえる道教からの着想であり、日本の柔道や書道など 「道を人生に例える」倣いへの接続である。
Statement
美術館内と外の庭、公道を繋げる一本の長い道を作る。素材はアスファルト。断面が特徴を持つように厚みを出す。全てのプロテストは道をステージにし、デモは集合場所から国会などのゴールへと道を歩く。道は全て繋がっていることから、この道も美術館内から立法院へと繋がっていると言える。また、これは国立美術館という場所がどれほど公的な場所なのかを問うプロジェクトでもある。例えば公道は24時間誰でも使用可能であり、使用上のルールは法律と人々のコモンセンス、信頼関係によって築かれている。国立美術館を真の意味で公的に開く、立法院という公的な場所を舞台にしたサンフラワームーブメントからインスパイアされたこの実験によって、国立美術館の公的センスやポテンシャルを最大限に引き出すことを目指す。立法院や国立美術館は誰のものなのか、そこに入り何をするのか/して良いのかは誰が決めるのか?そのジャッジの公的性はどう評価されるべきか?幾つものクエスチョンをこのプロジェクトは内在するだろう。公道でも国立美術館でもない第3のパブリックスペースとして、Chim↑Pomは美術館と交渉しながらこの道のためのレギュレーションを新たに作ろうと思う。Why open? ドアが何故か開いていたことを機に立法院に入り込んだサンフラワームーブメント。美術館の入り口をも繋げた道を観た人々はきっとそんな疑問を持ち、それを入り口に様々なことを考えるだろう。公とは、道とは、美術とは。そういう意味でも、公道と繋がる道が敷かれたエントランスは、まさにビエンナーレの「入り口」としてふさわしいように思う。また、タイトルが漢字である理由は、台湾の文化のコアともいえよう道教からのインスパイアであり、日本の柔道や書道など「道を人生に例える」風習への接続だ。それは、あくまでアジアをテーマにした今回のビエンナーレに対する、チンポムからの応えでもある。