日本のアートは10年おくれている 世界のアートは7、8年おくれている/恵比寿の泉 (2008、2018)
「日本のアートは10年おくれている 世界のアートは7、8年おくれている」(2008)
新築アートコンプレックス・ビルであるNADiff a/p/a/r/tに開設した地下ギャラリーのこけら落しのための作品。ホワイトキューブになる前のコンクリート打ちっ放しの状態で工事を止めて、ギャラリー全体を冠水させ、5日間にわたって放尿、壁画制作、パーティーなど乱痴気騒ぎを繰り広げた。その末に出来上がった空間に、オープニング・パーティー当日、200匹の蛍を放した。この壁画群は白い壁の奥にいまも閉じ込められており、ビルが取り壊されるときまで眠り続けている。
「恵比寿の泉」(2018)
NADiff a/p/a/r/tの10周年記念展で制作された作品。「日本のアートは10年おくれている」展で地下ギャラリーのコンクリート壁に描かれ、隠されていた壁画群を、ギャラリーのホワイトキューブを壊すことで発掘するビデオから始まる。廃材となったホワイトキューブの壁は、1階の本屋に仮設された公衆トイレの壁としてリサイクルされた。便器部分の真下のフロアには地下のギャラリーとつながるように穴が開けられ、観客が用を足せば、地下へと流れ落ちる仕組みとなっている。それらが混じった汚水は、地下のギャラリーで溜め池となった。