木版画( パネル、和紙、墨)
列島改造人間・角栄
農閑期の稲穂のない田圃、その上にどこまでも低く垂れ込める重たい雨雲。歩けども人影はなく、整然とした国道を走り抜ける車は、この町に立ち寄る素振りも見せない。
新潟県刈羽郡西山町。ここは功罪相半ばす、昭和のカリスマ首相・田中角栄の故郷である。
日本列島改造論を撲ち、表日本と裏日本の格差の是正を謳ったその人の故郷は過疎地であった。
昭和47年、「日本列島改造論」は出版され、巷に列島改造ブームを巻き起こした。高速道路や新幹線を建設、開通し、インフラの整備によって、人と経済を地方へ流すバイパスをつくり、そして情報通信を発達させることで、日本全国を平等で豊かな社会にする。その理想の根底には、裏日本・新潟の繁栄の願いがあったはずである。
しかし、皮肉にも流れを呼ぶ為の道路は、モータリゼーションとともに若者層を都市へ送る運河となってしまった。夢の列島改造は、人口の流出や乱開発。利益誘導型政治に土建中心国家など、悪い方向へと流れ、明るさを失った……。
「……どこに新しいものがございましょう。生まれた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃございませんか……。」と鶴田浩二のボヤキ声も聞こえてきそうである。角栄さんはこのような結果をどう思っていたのだろう?
「改造」という言葉を思う時、折し田中総理就任と時期を同じく放映されていた、「仮面ライダー」に出てくる赤土の造営地や生コン工場、できたての団地に改造人間、それらの不吉さと寂寥を感じる。
「開発」ではなく「改造」なのだ。田中角栄は列島改造人間である。(風間サチコ 2002)
ヨッシャー戦闘員
承諾の意思を示す際に片手を上げながら発する角栄さんの口癖「ヨッシャ、ヨッシャ」が戦闘部隊の名前の由来。
センキョテロル
天性の人たらしで策士である角栄さんは、集票マシーン、選挙の天才とも称された。
ニシキゴイン
角栄さんの豪邸「目白御殿」の池で飼育されていたニシキゴイ。ゲタ履きでエサやりする姿は有名なアイコンの ひと つ。
ドボッケン
明晰な頭脳と行動力で「コンピューター付きブルドーザー」とあだ名された角栄さん。インフラ開発重視で土木のイメージが強い。
弾丸レッシャー
弾丸列車「新幹線」で移動時間を短縮して日本列島をさらに小さくする、という壮大な野望。
アラジル男
総理大臣になっても故郷・新潟の味「のっぺい汁」を好み、廉価な鮭のアラを近所の魚屋で購入していたという噂だ。