Series “PET (Portrait of Encountered Things)”

「東京の街を歩いていると不意に、誰かが置いていったボトルに目がとまることがよくあります。こんなところに捨てて、仕方のない人がいるものだと思うこともありますが、そこへ妙に劇的な光が射していたり、なんとも言えないバランスで放置されていたり、はたまた視線が留った瞬間、ちょこんと座った猫と目が合うような感覚にとらわれたり...。気にかけているつもりも無いままに、そういった風景を写真におさめていたことに気がついて写真のシリーズとして発表したのが前作Forgotten Liquid
です。撮りためた写真を並べてみると、なかなかそれぞれに個性があり、それらはさながら、街行く人のポートレートのようでもありました。そして、その存在をより具体的に、物質的に表現する
方法として辿り着いたのが、このガラスを用いた彫刻によるシリーズPET(Portrait of Encountered Things)です。うち棄てられて、本来空であるボトルの内側には、透明ではあるものの、その存在感が重みを増して閉じ込められています。」（臼井良平、
2012）