ヒロシマの空をピカッとさせる photo: Cactus Nakao
ヒロシマの空をピカッとさせる photo: Cactus Nakao
無題 制作協力:板垣賢司
無題 制作協力:板垣賢司
リアル千羽鶴 photo: Kenji Morita
リアル千羽鶴 photo: Kenji Morita
展示風景「広島!」Vacant、2009 photo: Kenji Morita
展示風景「広島!」Vacant、2009 photo: Kenji Morita
『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』 Chim↑Pom+阿部謙一 共編著(無人島プロダクション刊、2009)
『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』 Chim↑Pom+阿部謙一 共編著(無人島プロダクション刊、2009)
展示風景:「LEVEL 7 feat.「広島!!!!」原爆の図丸木美術館、2011 photo: Kei Miyajima
展示風景:「LEVEL 7 feat.「広島!!!!」原爆の図丸木美術館、2011 photo: Kei Miyajima
展示風景:「広島!!!!!」旧日本銀行広島支店、2013 photo: Kenji Morita
展示風景:「広島!!!!!」旧日本銀行広島支店、2013 photo: Kenji Morita
The History of Human photo: Taisuke Koyama
The History of Human photo: Taisuke Koyama
Postal service connects the Whole world
Postal service connects the Whole world
Non-Burnable
Non-Burnable
平和の日
平和の日
平和の日 photo: Kenji Morita
平和の日 photo: Kenji Morita
We Don't Know God photo: Kenji Morita
We Don't Know God photo: Kenji Morita
広島!〜 (2008 - )

2008年、広島原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」と描いた作品「ヒロシマの空をピカッとさせる」の制作が社会的騒動に発展し、企画されていた広島市現代美術館での個展は中止となった。Chim↑Pomはその騒動をまとめた検証本を出版し、さらにその後もヒロシマと核問題をテーマに多くの作品を制作。それらをまとめた展覧会を、「広島!」(2009年、Vacant 、東京)を皮切りに、「!」をひとつづつ増やしながら巡回させ、2013年には広島での開催(「広島!!!!!」展、旧日本銀行広島支店)に至った。

「ヒロシマの空をピカッとさせる」(2009)
広島・原爆ドームの上空に、飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いた作品。広島の風景に漫画のひとコマのような擬態語を描き、ゆっくりと消えていく様子に記憶の風化を重ねることで、戦後日本の平和に対する現代的な歴史観を映し出した。

「リアル千羽鶴」(2008-)
実物大のリアルな鶴のフィギュアを、個人や団体から1羽ずつ受注製作し、いつの日か1000羽になることを目指しているプロジェクト。広島には世界中から膨大な数の折り鶴が届けられるが、それは一律なデザインで折られながらも、平和へのそれぞれの想いが込められた、いわば「人類の祈りの集積」といえるだろう。また、このプロジェクトでは、鶴が1羽増えるたびに、発注者の祈りのプレートも1枚ずつ追加されていく。アートを収集することと人類の祈りとが、「千羽鶴」の名の下で接続される。

「なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか」(2009)
《ヒロシマの空をピカッとさせる》発表前の刊行のため、作品評ではなく、「ピカッ」騒動を通して「原爆/戦争」と「現代社会」と「表現」について検証した本。美術家、美術評論家、広島問題の評論家たちによる論考のほか、被爆者団体とChim↑Pomの対談なども収められている。

「The history of human」(2015)
広島には大量の折り鶴が世界中から送られてくる。千羽になったときに願いが叶うという言い伝えに基づいて、被曝により白血病になった広島の少女が平和と健康を祈って折り続けた実話に由来する。以来何十年もの間にたまった膨大な千羽鶴は、一羽一羽に祈りが込もったまさに世界平和への希求を形にした世界的なプロジェクトだ。
しかし実は広島市は捨てるわけにもいかないとそれらの保存に苦心しているという。

プロジェクトは、
○広島市から大量の折り鶴をもらう
○それらをエリイが一羽ずつ元の一枚の四角い折り紙に折り戻していく。
○四角い状態に戻されたそれらの折り紙で、観客は再び鶴を折る。
○それらの折り鶴をまた広島市に送る。
ことを繰り返していく。

平和という意味を持った大量の折り鶴を、紙という無意味に一羽ずつ戻していくChim↑Pom。その折り紙をリサイクルすることで「世界平和の再制作」に取り組むのは、そもそも大量の鶴の送り元であった世界中の人々だ。この「行為」だけが増え続ける平和と破壊の無限ループのスパイラルは、まさに人類の永遠の課題である「世界平和」を批評し続ける終わりなきプロセスなのである。
素材提供: 広島市

「Postal service connects the whole world」(2017)
折り鶴と折り戻した折り紙、「折り鶴の折り方」が書かれた紙を同封し、トランプ米大統領と金正恩北朝鮮最高指導者に郵送する様子を収めたビデオ作品もある。

「Non-Burnable」(2017、2019)
大量の折り鶴を広島市からもらい受け、1羽1羽の折り鶴を1枚の四角い折り紙に折り戻す。折り紙に書かれたメッセージなどを読み上げつつ、淡々と折り紙へと戻す作業を続けるエリイのパフォーマンスを録画したビデオとともに、その折り紙を、再度折り鶴へと観客に折り直させるワークショップを展開。折り鶴は、美術館から広島市へ送られる。タイトルは、広島市が折り鶴を「不燃ゴミ」用倉庫に保存していることに由来する。

「平和の日」(2011、2013)
「平和の灯」を用いた絵画シリーズ。全部で約440枚。動物や植物や日用品など森羅万象を描いた大小の絵画を、ロープと石膏を使って積み上げ、投げ込んだ一発の火によって一気に焼き上げた。2011年に東京で、2013年に広島で制作した。

「We don’t know God」(2018)
「平和の灯」とは、広島の原爆で叔父を亡くした山本達雄氏が、その現場から形見の代わりとして火を福岡県星野村の実家に持ち帰り、25年間密かに絶やさず燃やし続けた原爆の残り火。1968年に火は村に引き継がれ、現在までに日本全国さまざまな役場や寺院などに分火されている。Chim↑Pomはこの火でさまざまな作品制作を行ってきたが、初めて火自体を白い壁とセットで作品とした。世界中の美術館に分火されていくことを目指しており、タイトルには、無神論者が多く、人類史上初の被爆国である日本から行う分火と、さらに神も仏もないような原爆の威力、古来神として崇められた火、そして神の領域に踏み込んだとされる原子力などを含意させた。